咲くか腐るか


咲いた花に水をやることは誰でもできる。

しかし、花を咲かせるまで面倒をみることは、誰にでもできることではない。

いや、そもそも種を撒こうと思い立ち、品種を選び、土を耕すことはもっと難しく、ごく限られた人にしかできないだろう。

ここで大切なのは、水をやるだけの人、耕す人、それぞれの役割は、個人の才能で決まるのではなく、

人生の流れ、タイミングに大きく左右されると言うことだ。

平凡な人物がある日突然開花する。このような現象はまま見られるが、これは隠れた才能云々よりも、

その人を取り巻く環境、経験値のオーバーフロー、モチベーション、エネルギーみたいなものがシンクロしたときに、

直感的にサッと動けるかどうかだと感じている。

後先考えてはいけない。うまく行くこと自体が奇跡で、ほとんどは失敗する。

恐れずに思うまま行動することが、君が開花するか種のまま腐るかを決める。

いつか花は枯れる。しかし咲かないで終わる種もある。

確かに、咲けば風雨に晒され、日照りに苦しめられ、そしていつかは枯れてしまう。

しかしだからと言って、土の中で一時のぬくもりを求め、空の青さを知らずに腐っていく種よりかは、僕は一瞬でも咲く花の方を選ぶ。

100年の時は一瞬に過ぎない。いたずらに人生を送ることなかれ。

彼はそう言う人生を送ったと思う。

まだ駆け出しのころ、君に出会えてよかった。

ひとつの目標です。

ご冥福をお祈りいたします。

登山家 栗城史多 君へ



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