大好きだよ、今でもずっと。


先日、僕が雄勝に移住して最初に一緒に働くことになった方の送別会があった。

僕はその組織を2年で抜けたが、その方は6年在籍された。

一緒に仕事をするなかで、雄勝生活における身の振る舞い方を、言葉ではなく行動で教えてくれた、非常に我慢強い方だ。

すぐに気持ちが言葉に出てしまう僕には、見習うべき強さをもった方だった。

その方とのエピソードを再度掲載しようと思う(しばらく前にfbに掲載した記憶があります)。

2012年、雄勝町で震災後初の花火(お盆の供養花火)をしようと言うことになり、手探りでその準備をしていた。

供養花火と言うこともあり、先祖や震災犠牲者に対しメッセージを読み上げるのだが、希望者からメッセージを募り、僕はパソコンでそれを打ち直ししていた。

その中に、ふと目にとまった言葉があった。

「大好きだよ、今でもずっと」

氏名欄を見ると、目の前の同僚の名前が書いてある。

僕はその言葉をどこかで見たような気がしたが、作業も忙しかったので、その場は気にせず進めた。

その数時間後に、花火打ち上げとなった。

ひとつひとつメッセージが読み上げられ、先ほどのメッセージも読み上げられた。

僕はそのときに思い出した。あの言葉は、ある避難所の壁に描かれた言葉だった。

2011年の夏、いよいよ避難所が解散となり、その作業を手伝っているときに、たまたま見つけた言葉だった。

僕は目の前にいる同僚が、その言葉を書いたと今でも思っている。

あの頃は、まだまだ犠牲者の捜索が続き、死と別れ、出会い、暮らしと悲しみが混在した、不思議な時期だったと思う。

メッセージを書いた人も友を無くし、不安のなかで過ごしたに違いない。

多くを語らないその人は、精一杯の思いを壁に書いたのかも知れない。

その光景を想像すると、僕は胸がいっぱいになった。

今までに感じたことのない思いの中で、花火は優しく夜空に咲いていた。

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